笑の大学 ★★★★

監督:星護

主演:役所広司、稲垣吾郎

タイトル: 笑の大学 スペシャル・エディション


ストーリー

舞台は昭和15年。日本は戦争への道を歩み始めていた。
国民の娯楽である演劇は規制され、台本も上演前に検閲を受けていた。
そんな時代に、警視庁の取調室で出会った2人の男。


1人は笑ったことのない男。

情け容赦ない検閲官の向坂睦男(役所広司)


1人は笑いに命をかける男。

劇団「笑の大学」座付作家の椿一(稲垣吾郎)


向坂は、このご時世に喜劇など上演する意味がないと考えている。
「笑の大学」を上演中止に持ち込むため、

椿の台本に対して「笑」を排除するような無理難題を課していく。

一方椿は、上演許可を貰うため、向坂の要求を飲みながらも

「笑い」を増やす抜け道を必死に考えていく。

しかし、執拗な向坂の要求は、

皮肉にも台本をどんどん面白くする方向に向かってしまっていた。

いつしか2人は夢中で喜劇台本を創り始める。
やがて、2人が創り上げる傑作喜劇とは。
完成の瞬間、2人に訪れる宿命とは。(公式HPより)


レビュー (ネタばれ)

三谷幸喜の脚本が素晴らしい。

彼の作品には、必ずと言っていいほど「密室」が登場します。

「王様のレストラン」「ラジオの時間」「オケピ」。

ある意味では「古畑任三郎」もですかね。

閉じられた空間の中で、そこにいる人間が繰り広げるドラマ。

これが三谷作品の核(コア)ではないでしょうか。


そして、キャスティングが素晴らしい。
役所広司は、とても巧い役者です。

笑ったことのない〝カタブツ〟の男がいるとしたら、

こういう人なんだろうなぁと思いました。

あえて苦言を申し上げるとすればですね、(僕ごときがですが)

もっと〝イヤミ〟な部分があっても良かったと思います。

〝いい人〟な部分が生かされるためにも、悪さというか毒っぽさというかが欲しかったですね。


吾郎ちゃんは、頑張ってるなぁと思いました。

やっぱり役所広司と比較すると、一番重要な部分での演技力に欠けるかなぁと。

物語のラスト、吾郎ちゃん演じる椿に届く「赤紙」(召集令状)。

そんな状況なのに、自分を追い込んで「笑い」を模索する。

ここが僕は重要だと思うんですけど、戦争へ駆り出されることで、

「笑い」と縁を切らないといけないことへの悲愴感、哀愁みたいなものがもう一歩かなぁと。でも、役所広司と比べるからであって、充分伝わってはきましたよ。

僕は号泣しましたから。(笑)


「赤紙」が届いたことを、向坂に伝えるシーン。


『おめでとうございます!』(向坂)


『ありがとうございます!』(椿)


ここは何度観ても涙が出ます。

巨大な権力に逆らえなかった時代。どんな想いで戦地に向ったんだろうなぁと。


今回の評価は星4つ。吾郎ちゃんの演技の部分を引いても5つです。

では、減点分の星はというと、予告部分で多くを見せ過ぎた点です。

特に、向坂の印象的なセリフを数多く見せてしまった事で、

『あぁ、まだあのセリフが出てないから…』って先読みしてしまいました。

映画自体の僕の評価は5つですけど、宣伝の部分も重要視して星4つです!

(マチアキ風に)


お腹を抱えて笑える作品だし、色んな事を考えさせられた作品でした。


笑の大学 公式ホームページ