今日は、友人と池袋のシネ・リーブル に「コーラス」を観に行ってきました。
この作品は、アカデミー賞やゴールデングローブ賞で外国語映画部門にノミネートされた作品です。
コーラス ★★★★☆
監督:クリストフ・バラティエ
出演:ジュラール・ジュニョ、フランソワ・ベルレアン、
ジャン=バティスト・モニエ
ストーリー
世界的指揮者のピエール・モランジュは公演先で母の訃報を知り、葬儀のために故郷へと戻ってくる。降りしきる雨の中、実家で物思いにふけっていたピエールのもとに、ひとりの男が訪ねてくる。子供時代を一緒に過ごしたペピノだった。
ピエールが懐かしい再会を喜ぶ中、ペピノは一冊の日記を手渡す。それは、幼い日に自分の生き方を変えてくれた、ひとりの音楽教師の残した形見だった……。
1949年、フランスの片田舎。失業中の音楽教師クレマン・マチュー(ジェラール・ジュニョ)は、「池の底」という名の寄宿舎に赴任する。
この学校には、親をなくした子供や、素行に問題があり親元を離れた子供たちが集団生活していた。子供たちの酷いイタズラに迎えられたマチューだが、何よりも驚いたのは「淋しさ」ゆえに心のすさんだ子供たちに、校長先生が容赦ない体罰を繰り返すことだった。言うまでもなく、学校全体は温かさのかけらもない殺伐とした雰囲気で溢れかえっていた。マチューも、子供たちのイタズラに手を焼くことになるのだが、子供たちの心を理解したマチューは決して彼らを叱らず、体罰も加えないと決意する。
子供たちに本来の純粋さや素直さを取り戻してもらおうと、
マチューは彼らに「あること」を教えることを思いつくのだった。
暗い瞳を輝かせるための「あること」。それは「合唱団」を結成し、
歌う喜びを教えることだった。最初は面白半分だった子供たちも、
徐々に歌うことの素晴らしさ、楽しさに目覚めていく。
やがて子供たちは、歌を通じて純粋な心を取り戻していくのだが…。
レビュー(ネタバレあり)
フランス版「天使にラブソングを」というべきでしょうか…。
ストーリーとしては、歌(コーラス)によって子供たちが変わっていくという、
至ってありきたりなモノ。
ストーリーに面白みが無い分、余計に子供たちの歌声が引き立つ結果になっています。とにかく、ピエール・モランジュ役のジャン=バティスト・モニエの歌声は、
〝奇跡の歌声〟という表現に充分値します。
彼は、実際に「サン・マルク少年少女合唱団」のソリストを務めています。
声変わりする前の「男の子」の時代にしか出せないアノ声。
純粋で透明、その美しさは時として儚く、切ない。
そんな彼、いや彼らの歌声に、僕は嫉妬してしまいました。
少しタイプは違いますが、「Josh Groban」 の歌声を初めて聴いた時の気持ちに似ています。
また、音楽教師マチューを演じるジェラール・ジュニョの
子供たちを見守る姿も印象的。
瞳に優しさが溢れ、思わずこちらが笑顔になります。
しかし、この作品、もう一歩という感じが否めません。
やはり、脚本・ストーリーのデキが惜しいんです。
僕としては、合唱を長いことやっていましたから、もう少し合唱の楽しさ、
良さの描き方にも力を入れて欲しかったです。
合唱って、歌わされているうちは本当の楽しさはわからない。
知らず知らずのうちに、歌を口ずさんだりハモってしまっている。
そのレベルになって、ようやく合唱・コーラスの楽しさがわかると思うんです。
それと、脚本で僕が違和感を感じた点を挙げてみます。
(おもいっきり、ネタバレなので見辛くしてあります。)
①過激ないたずらで、用務員に大ケガを負わせた子供の描き方。
②転校してきた問題児のくだりは必要なのか?
③校長にも変化の兆しが見えたが、いつの間にか元の校長に…。
④生徒からの別れの紙飛行機。なぜ、全部拾わない?
⑤ラストに向かってストーリーの展開が速すぎる。
フランス映画らしい映像と、子供たちの歌声が秀逸なだけに、
少し残念だなぁという感じですね。
…ということで、今回の評価は星4つ。
映画のデキとしては3つを付けたいところですが、
子供たちの歌声の素晴らしさに負けて星4つです。